給与計算freeeで有給管理ができるようになりましたが、その実力と活用方法は!?

投稿日:2016.02.08|カテゴリー: IT・クラウド

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2月4日、freee株式会社さんが、給与計算freeeで有給休暇の管理ができるようになったことを発表しました。

給与計算freeeの日進月歩の進化には驚くばかりです。

有給休暇の管理は想像以上に大変です

さて、給与計算freeeの有給休暇管理機能の話に入る前に、余談っぽくなってしまいますが、法律上、有給休暇を管理することは、経営者や人事担当者が思っている以上に面倒でややこしいということをお伝えしたいと思います。

その理由は、次のようなところにあります。

①入社日から起算して6か月経過後に最初の有給休暇が発生し、以後も1年毎に、その日に有給休暇がするので、社員ごとに有給の付与日が異なる。

②付与すべき有給休暇の日数は、最初は10日だが、勤続年数により最大20日まで増えていくので、勤続何年で何日付与するのかを管理しなければならない。

③有給休暇は付与日から2年で時効消滅するので、現時点で累積で何日有給休暇が残っているのか、また、使い切れなかった有給がいつ消滅するのか付与日ごとの管理が大変。

④正社員より勤務日数が少ないパート社員には「比例付与」という、所定勤務日数に応じた有給休暇の付与制度が使えるが、正社員以上に日数管理が大変。

このような事情があるため、中小企業では有給休暇の日数管理が曖昧になってしまったり、社会保険労務士事務所などに有給管理をアウトソーシングしたりしていたのが、従来の状況でした。

そこに、革新的な一歩を踏み出したのが、今回のfreeeさんの発表だったのではないかと思います。

給与計算freeeの有給管理でできるようになること

今回リリースされた給与計算freeeの有給休暇管理機能を早速私も使ってみましたが、大きくは次の2つの感想を持ちました。

①管理の仕組みとしては非常に分かりやすい

②今後のバージョンアップに期待したい点もある

まず、①に関してですが、下記のサンプル画面のように、付与した年度ごとに有給休暇情報が表示され、いつ付与された有給休暇が、何日残っていて、いつ時効消滅すのか、ということを一覧で確認することができます。

給与計算freee有給管理画面
 

また、こちらの有給休暇の使用日数や残日数の情報は、勤怠管理画面や賃金台帳とも連動していて、勤怠管理画面で「今日は有給を取得した」と入力すると、自動的に有給が1日減少し、その事実は当月の賃金台帳にも自動反映される仕組みになっています。

これは、中小企業の労務管理を一元化するために大変素晴らしい仕組みであると私は思います。

一方で、今後のバージョンアップに期待したい点です。

まずは、現在のバージョンでは、下図のように、有給付与日や日数は手動で登録しなければなりませんが、これを、入社日を入力したら、有給の付与日と日数が自動で反映されるようなシステムを導入してほしいということです。

給与計算freee有給休暇登録画面
ある程度の労働法の知識がなければ、手動付与では、誰に何日有給を付与すべきかを間違ってしまう可能性があるので、この点は早急な自動化を期待したいところです。

また、時給や日給で働くパートタイマーの有給管理への対応にも期待をしたいところです。上述しましたよう、フルタイムではないパートタイマーのほうが、誰に何日有給を付与すべきかの管理は大変なので、「週の勤務日数を入力したら、自動で付与すべき有給日数が反映される」というような仕組みが出来上がれば、多くの中小企業の助けになるはずです。

現時点での、給与計算freeeの有給休暇管理機能のお勧め活用方法

給与計算freeeの有給休暇管理機能は、上記のようにまだまだバージョンアップの余地がありますが、現時点においても、初期設定として有給休暇の付与日と日数を正しく設定すれば、その後の管理はほとんど自動化できるという点で、労務管理上の大きなメリットを得ることができると思います。

なので、もし誰に何日付与して良いのか分からないようでしたら、給与計算freeeに対応している社会保険労務士に依頼して、初期設定だけでも対応してもらう、というのがベストな対応ではないかと思います(当事務所でも、もちろん対応しております)。

給与計算freeeは、この有給管理機能に限らず、誰でも簡単に操作できるよう、可能な限りの自動化をコンセプトに開発が進められていますが、やはり、要所要所では「専門家の手」によるサポートも活用し、「自動化ソフトと専門家のサポート」が融合して、最大の効果を発揮すると私は思います。

その証拠に、会計freeeのほうはアドバイザー制度が広く受け入れられ、会計freeeのユーザーと、専門家である税理士や会計士が協力し合って、低コストで迅速な企業会計の仕組みを実現しています。

給与計算freeeも、遠くない将来、同じような仕組みが出来上がってくるのではないかと私は思っています。