会計freeeがおそらく次世代会計ソフトの勝ち組になる3つの理由

投稿日:2017.07.08|カテゴリー: IT・クラウド

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先日私はAIと士業の未来に関する、ある勉強会に参加させて頂いた。その勉強会の中で、freeeの方の講演を聞かせて頂いて、確信を得たことがある。

それは、ひいき目なしに見ても、「会計freeeはおそらく次世代会計ソフトの勝ち組になる」ということだ。

私がそう感じた理由は、3つある。

freeeは会計領域における最高のAIを手に入れる

第1の理由はAIを育てるビッグデータ蓄積の優位性だ。

freee株式会社の発表によると、現在会計freeeを導入している会社数は80万社あり、また、クラウド会計ソフトではトップシェアとのことである。

会計ソフトは現在、クラウドのものクラウドでないもの合わせて様々なソフトが存在するが、会社が会計ソフトを選定するにあたっては、操作性や機能性、インターフェースの好みなどによって選ばれることが多い。そういう観点で選ぶならば、会計freeeも「数ある会計ソフトの1つ」ということになるかもしれない。

だが、freeeには、決定的な強みがあることが分かった。それは、80万社のユーザーからクラウドを経由して集まってくる膨大なビッグデータという財産である。

freeeは、80万社から集まってくる仕訳データなどのビッグデータをAIに学習させ、自動仕分けの精度を高めることに注力しているということである。また、最近はテキストデータだけでなく、スキャンされた領収書など画像データの解析にも力を入れ、領収書を写メで撮影したら、AIがどのような内容の領収書なのかを判別し、それだけで自動仕分が完了するような世界を目指しているそうだ。

私も専門家ではないので詳しい説明をすることはできないが、AIの完成度は学習させる情報量に比例して高まるという相関関係があることは間違いないと思われるので、早くからクラウド会計ソフトに普及に取り組み、積極的な資金調達によりユーザーの囲い込みに成功したfreeeは、先行者利益を享受しながらAIの完成度を高め、他社が容易に参入できない城壁を築くのではないかという予想を私はしている。

確かに、弥生会計や勘定奉行などといったインストール型ソフトで長年の実績を持つ会社は、ソフト自体の「完成度」という意味ではfreeeよりも上であろう。だが、「AIの精度」が会計ソフトを決めるに当たっての重要な判断基準と認識されるようになったら、freeeの存在感がよりいっそう高まってくるに違いないと考えさせられたのだ。

 

freeeは「freee経済圏」をつくり上げる

第2の理由は、freeeは、いわば「freee経済圏」とでも呼べるものを構築しようとしているということである。

その中でも2つの観点があり、1つ目の観点は、会計freeeが金融機関などとの連携を戦略的に強化しているということである。

すなわち、たとえば会計freeeのユーザーであれば、クラウド上でfreeeが提携している金融機関へ融資の申し込みができ、会計freeeのデータを金融機関に提供することで、最短で当日に審査結果が出て、翌営業日には融資が実行されるということだ。

会計ソフトのベンダーが、ユーザーの融資を支援する仕組みをつくるなんて、ひと昔前はまず出てこない発想であっただろうから、freeeの目の付け所やビジネスモデルの構築力には驚くばかりである。

もう1つの観点は、会計freeeのユーザー同士の連携強化である。自社と取引先がともに会計freeeを利用しているならば、相手方の会計freeeから発行された請求書を、自動的に自社の会計freeeに取り込むことができる。紙の請求書を受け取り、銀行の通帳と突き合わせながら、会計ソフトへ手入力するという昔ながらの請求入金管理と比べると、何倍、いや何十倍もの効率化である。

そういえば、弁護士ドットコムの関係者の方も、同社がリリースした、電子署名を用いてクラウド上で契約締結が完結する「クラウドサイン」の普及戦略として、契約は相手あってのことなので、取引において力関係の強い大手企業にまずクラウドサインを使ってもらえるよう重点的に営業をかけ、その大手企業に加え、大手企業の取引先にもクラウドサインの利用してもらうことで、ピラミッド式に普及させていきたいというビジョンをおっしゃられていた。

会計freeeもユーザー同士の連携に力を入れているので、クラウドサインと同様に、ピラミッド式、あるいはアメーバ式に利用者が増えていくことが期待される。

 

会計freeeは言わば、会計ソフト版iPhone

第3の理由は、ユーザーフレンドリーなインターフェースである。

会計freeeは、会計や税務の知識が無くても直感的に操作できるという意味で、私は「iPhoneのような会計ソフト」という概念で理解している。

AIが発達して、ほとんどの会計処理をAIが自動でやってくれるにせよ、100%ということはあり得ないので、どうしても人の手で修正や追加入力をしなければならない部分は出てきてしまう。そのようなとき、ソフトのインターフェースが複雑でブラックボックス化していたら、ユーザーはどこをどう操作すれば修正できるのかが分からない。

この点、私自身の会社でも会計freeeを導入しているが、現時点のインターでフェースでも、少し慣れれば大抵のことは自力で解決できるという印象を受けている。チャットでリアルタイムで相談できるユーザーサポートも有り難い。

また、会計freeeには、売上や経費がどのように推移しているか、グラフで表示される機能も実装されているので、会計の知識が無い人であっても、直感的に「ちょっと売上の伸びに対して費用の増え方が多いな」とか「売上が特定の顧客に偏っているので、もっと新規開拓して分散を図らなければならないな」といった経営判断をリアルタイムで下すことができる。

会計freeeは、記帳から経営分析までをシームレスに提供するという点での機能も期待することができるのだ。しかも、それが素人にも分かる形にして提供されるのだからさらに素晴らしい。

 

結び

このように、freeeは様々な点で会計ソフトに新しい風を吹き込もうとしており、そのアプローチ法も的を射ていると私は感じている。

今回記事にまとめたことは、なんとなくは頭の中で理解していたのだが、先日の勉強会でfreeeの方のプレゼンテーションを聞いて、freeeが目指しているビジョンや作り上げようとしている世界観がはっきりとイメージでたので、私なりにブログにまとめてみた次第ということである。