多人数の会社もこれで安心!給与計算freeeが弱点を克服したようです!!

投稿日:2017.06.04|カテゴリー: IT・クラウド

給与計算freeeが3つの新機能をリリースしました。

これまで、給与計算freeeには「一覧性」の面で弱点があり、社会保険労務士の私としても、多人数の会社には積極的に勧めることができませんでした。しかしながら、今回の新機能のリリースで、その弱点は大きく改善されたと思います。

それでは、順番に新機能を説明していきましょう。

 

住民税の一括更新

第1は、住民税の一括更新機能です。

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特別徴収による住民税は、毎年6月(7月10日納期限分)から新年度の金額が適用されるので、6月支払分の給与から、新年度の金額による住民税の天引きがスタートします。

したがって、給与計算担当者は、各市区町村から届く特別徴収税額決定通知書に基づき、給与計算ソフトの住民税情報を更新しなければなりません。

昨年まで給与計算freeeは「従業員」のタブを開いて、1人1人個別に更新をしていかなければなりませんでした。しかし、今年度は、「住民税一覧のCSVをダウンロード」⇒「CSV上で全従業員の住民税額を更新」⇒「更新したCSVを再アップロード」という簡単な操作で、全従業員分の住民税が更新できるようになっています。

なお、特別徴収税額決定通知書は従業員が居住する市区町村単位でまとまって郵送されてきますので、エクセルの「フィルタ」機能を使って市区町村順にCSVデータを並べ替えた上で更新をすると、さらに効率がアップするでしょう。

 

住民税の自動集計

第2は、毎月の住民税の納付額を自動集計してくれる機能です。

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特別徴収の住民税の納付は、会社にとって非常に面倒な事務作業です。毎月、市区町村ごとに集計をして納付を行わなければなりません。

従業員に入社や退職が全くなければ、特別徴収税額決定通知書に同封されている納付書に記載されている金額をそのまま、粛々と納付すれば良いのですが、年度の途中で従業員に入社や退職があった場合には、会社が手書きで納付書を訂正して、実態に見合った住民税額を納付しなければならないのです。

この点、従業員数が少ない会社であればまだ良いのですが、従業員数が多い会社ですと、入社や退職のあった従業員の居住する市区町村を1人1人特定して、納付書を修正していかなければならず、手作業の場合は大きな手間になってしまいます。

これが、給与計算freeeでも自動集計機能を使えるようになったことで、最新の従業員マスタの情報に基づいた、毎月の各市区町村への住民税納付額が、一発で自動集計されるようになったのです。

従来のインストール型の給与計算ソフトや、給与計算freeeの直接のライバルともいえるMFクラウド給与は既にこの機能を備えていたため、従業員数が多い会社が給与計算freeeを使うに当たっては、大きく見劣りするポイントとなってしまっていたわけです。

住民税の処理は、従業員数が多い会社では本当に頭を悩ませている事務作業ですので、今回の住民税の納付額の自動集計機能のリリースは、「周回遅れになっていたのが一気に追いついた」という表現を使っても過言ではないくらいの進化というか、キャッチアップだと思います。

 

給与明細一覧表

第3は、「給与明細一覧表」が出力できるようになったことです。

給与明細一覧表は、支給控除一覧表ともよばれ、労基法などで定められた法定の書式ではありませんが、その月に支払った全従業員の賃金が一覧になった表です。

一覧表
これまでfreeeでは、その月の給与支払状況がどうなっているかを一望するための画面や、出力帳票がありませんでした。

したがって、経営分析や給与支払状況の確認のため全従業員の給与支払状況を見たいと思っても、画面上で1人1人クリックしていくか、給与明細や賃金台帳をプリントアウトして並べるしかありませんでした。従業員数名の会社であれば問題ないですが、数十人や百名以上の会社となると、かなりのストレスです。

これが、給与明細一覧表により、1枚なしい数枚の紙で、その月の全従業員への給与支払状況が一望できるようになったわけです。

給与明細一覧表も、インストール型の給与計算ソフトやMFクラウド給与では対応済みでしたから、この点も、多人数の会社で給与計算freeeを使う場合の見劣りするポイントになってしまっていたわけです。

そして、給与明細一覧表は、社会保険労務士に給与計算を委託する場合の大きな架け橋にもなります。

給与計算freeeは基本的に自動計算をしてくれるソフトですが、初期設定や変化点を正しく入力してこその自動計算なので、細かいことを考えずに安心感を得たい場合は、freee上での給与計算を社会保険労務士にアウトソーシングするのも一手ということです。

そういったニーズに応えて社会保険労務士が受任する場合、やはり、プロとして受けるわけですから、間違いが無いように、給与freeeが自動計算した結果を、電卓や他の給与計算ソフトでダブルチェックをしたい場合も出てきます。このようなダブルチェックを行う場面において、一覧性のある給与明細一覧表は、会社の規模が大きければ大きいほど役に立つのです。

 

まとめ

今回のアップデートで、給与計算freeeの使い勝手は、大きくアップしたと思います。

まだまだ給与計算freeeが進化していかなければならない部分はあると思いますが、当社は、freee様が目指しているバックオフィスが自動化される時代に共感をしておりますので、freeeを使いこなせる社会保険労務士事務所を目指し「freeeでまだできないこと、freeeで小回りが効かないことを、専門家の手で助ける」というハイブリット型のサービスで、freee様とユーザー様の双方を支援できればと考えています。

私自身は、サラリーマン時代には製造業の会社に勤めていましたが、生産ラインは昔は人海戦術で行っていたものが、大変な作業や危険な作業から順番にロボットに置き換わっていき、最後は全自動になっていくという歴史を学ばせて頂きました。

これと同じことが、バックオフィスの世界にも起こっているのだと思います。現在はまさに人海戦術から全自動に置き換わる途中の過渡期で、「自動化された作業」と「人の手が必要な作業」が入り混じっています。

現時点で、給与計算freeeの機能が不完全な部分を批判しても始まりません。今は、この過渡期を、関係者が協力して乗り越え、全自動の時代につなげるための橋渡しができるか否かが、全自動の時代の到来を成功させるためのポイントなのではないかと思います。

そして、それが我が国の「働き方改革」の一翼を担うことにもつながっていくのではないでしょうか。